「月々12,800円でホームページが持てます」と言われて契約した。5年経って解約しようとしたら、残り期間分をまとめて請求された。——実際にあったご相談です。
総額を計算してみましょう。12,800円 × 60ヶ月 = 768,000円です。しかも多くの場合、これとは別に保守費が毎月かかります。5年で80万円から100万円。それだけ払っても、たいていは解約時に何も残りません。
なぜ「リース」なのか
ホームページの制作費を、リース会社が立て替える形です。お客様はリース会社と契約し、毎月支払います。制作会社には、契約成立時点でまとまった金額が入ります。
ここが肝心なところです。制作会社は、最初に全額を受け取っています。そのあとお客様が満足していようがいまいが、制作会社の収入は変わりません。だから「作ったあと連絡が取れなくなる」ということが起きます。
そしてリース契約は、原則として途中解約できません。これはリース会社が悪いわけではなく、そういう契約だからです。物のリースと同じ扱いなので、途中でやめるなら残額を一括で払うことになります。
ホームページが気に入らなくても、会社が対応してくれなくても、支払いは続きます。契約の相手が制作会社ではなくリース会社だからです。
「月々12,800円」の中身
ここがいちばん見えにくいところです。リース料には、分割手数料が上乗せされています。
たとえば制作費が本当は50万円だとします。それを5年払いにすると、リース会社の手数料が加わって、総額は60万円から70万円ほどになります。月額に割り戻すと、本来なら月9,000円弱で済むはずのものが、12,800円になっている。差の3,000円台が、手数料です。
そして、ここに「安く見せるテクニック」が使えます。期間を延ばせば、月額は下がります。60回払いより84回払いのほうが、月々の負担は軽く見えます。
ただし手数料は期間に応じて増えるので、総額はむしろ上がります。「月々1万円を切りました」と提示されたときは、それが期間を延ばした結果ではないか、確かめてください。
月額だけを見ていると、この構造は見えません。だから「思ったより安いな」と感じてしまいます。見るべきは月額ではなく、総額と期間です。
やめられないと、どうなるか
途中で解約しようとすると、選べる道は2つしかありません。
- 残りの期間分を、まとめて一括で払う
- 使わないまま、期間が終わるまで払い続ける
どちらを選んでも、支払う総額は変わりません。「もう使っていないのだから安くなるはず」とはならないのが、リースです。
本当に困るのは、ここです
業者を変えたくても、変えられません。
対応に不満があっても、連絡が取れなくなっても、支払いは続きます。他社に頼み直そうとすれば、いまのリース料を払いながら、新しい制作費も払うことになります。二重の負担です。
だから多くの方が、不満を抱えたまま期間が終わるのを待ちます。3年、5年と。その間、ホームページは古いままです。
見分けるための3つの質問
1.「これはリース契約ですか」と聞く
ごく単純ですが、これが効きます。「サブスクです」「月額制です」と説明されていても、書類がリース契約書のことがあります。契約書の表紙に「リース」「賃貸借」と書かれていないかを必ず見てください。リース会社の名前が制作会社と違う場合は、ほぼ確実にリースです。
2.「途中でやめたらどうなりますか」と聞く
「残りの期間分をお支払いいただきます」と返ってきたら、それがリースです。まっとうな月額制なら「いつでもやめられます」と答えます。やめるときの話を、契約前に聞いておく。これは何を契約するときでも同じです。
3.「総額はいくらですか」と聞く
月額だけ言われると、安く感じます。掛け算をしてから判断してください。5年契約なら60を掛けるだけです。その金額で、他に何ができるかを考えてみると、判断しやすくなります。
とくに注意したい売り文句
「補助金が使えます」「今なら初期費用が無料です」「タブレットもセットで付きます」。悪いことではありませんが、付属品が多いほど総額は膨らみます。タブレットのリース代が、ホームページの何倍もかかっていた例もあります。
もう契約してしまった場合
まず、契約書を探してください。そこに書いてあることがすべてです。感情的な交渉より、書面の確認が先です。
- 契約の相手は誰か——制作会社か、リース会社か。請求元を見れば分かります。
- 期間はいつまでか——残りが1年なら、払い切ってしまうほうが安いこともあります。
- 自動更新の条項があるか——ここを見落とすと、気づかないうちに次の5年が始まります。いちばん確認すべき箇所です。
- ドメインの名義は誰か——制作会社名義になっていると、やめたときにアドレスごと失います。
契約から間もない場合は、クーリング・オフが使えることがあります。訪問販売や電話勧誘で契約した場合が対象です。判断がつかないときは、お住まいの地域の消費生活センター(消費者ホットライン 188)にご相談ください。無料です。
まっとうな月額制との違い
月額制そのものが悪いわけではありません。弊社も月額制です。違いは、やめられるかどうかの一点に尽きます。
やめられる契約なら、提供する側は毎月選ばれ続ける必要があります。連絡が取れなくなれば、やめられて終わりです。継続してもらうために働く理由が、契約の形として組み込まれているということです。
逆に、やめられない契約は、その理由がありません。
契約書を見て「解約」の項目を探してください。そこに何と書いてあるかで、その会社がどちらの立場に立っているかが分かります。
いまの契約書を、見てほしい方へ
「これはリースなのか」「自動更新の条項はあるか」。契約書を見ればすぐ分かることが多いので、お困りでしたらご相談ください。制作のご依頼でなくても構いません。解約せずに払い切ったほうが安い場合は、そうお伝えします。
無料で相談する複合機やサーバーの訪問販売でも、まったく同じ構造の契約が使われています。残債を新しい契約に載せ替えて、月額だけを安く見せる手口については、こちらに書きました。
→ 「今より月々が安くなります」——訪問販売のリース契約で、何が起きているか